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本書は、ドイツ研究家で2011年からブログ“ドイツから学ぼう”を発信し脱原発、新自由主義克服を訴えてきた関口博之さんの日本社会に対する警鐘であると同時にエールと言えよう。

還暦後に2007年から4年間ドイツで暮らし、ベルリン自由大学やフンボルト大学で学んだ著者は、脱原発に向かったドイツ社会を、政治、企業、教育、農業、金融、マスコミそれぞれの歴史や流れを通じて分かりやすく描き出している。

ドイツは新自由主義に一時的に支配されながらも、なぜ脱原発によるエネルギー転換で人類の「未来ある希望」を推し進めることができるようになったのか?その鍵は、それぞれの分野で起きた競争原理に基づく出来事に抗う力を市民が連帯することでもちえたことにあるようだ。

日本との対比も随所に見受けられ、お手本にすることで改革が可能であると訴えている。日本に是非導入してもらいたい事例をいくつか挙げてみよう。

1.ドイツの政治家は日本のように破格の報酬を得ず、特別高い地位が与えられている訳ではなく、地方議員にいたっては無給の「名誉職」

2.環境保全型農業経営に補償金を支払う制度

3.競争よりも連帯を育む教育。幼稚園~大学授業料の無料化。

4.中小企業や低所得者層への大型減税政策による内需活性化

5.金融取引税の導入

ドイツはリーマンショックに巻き込まれて実質的デフォルト状態になったことでマスコミも市民も目覚めたという。原発廃止見直しを進めていたメルケル政権に抗い、連邦環境省が圧力に屈せずに原発周辺地域の白血病や癌の罹患率の高さを発表したことでマスコミも原発政策の間違いを指摘する番組を報道。ついに選挙で負け続けるようになったメルケル首相の脱原発宣言に結実したのだ。

著者自身が励まされたという映画『エネルギー転換の時代に生きる』の詳述に一章がさかれているが、ドイツ各地で再生可能エネルギーの普及に尽力してきた起業家や市民によるエネルギー自給を後押しする財団などの取組みが電力巨大資本のプロパガンダを崩していくさまは圧巻である。

文:Eri Sato

Eri Satoさんが参加しているBlog : The Project 準備室

『ドイツから学ぶ「希望ある未来」~エネルギー転換の革命は始まっている~』紹介ページ


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